お手入れガイド

2022.12.06

陶磁器のお手入れガイド:
使い始めの目止めから使用後のケアまで

陶磁器のお手入れはシンプルです。基本の「目止め」や使用時のちょっとした心がけで、長く美しさを維持することができます。

はじめて陶磁器をご購入された方、使用している器のお手入れ方法を確認しておきたい方向けの記事です。





お急ぎの方はこちら

目止めのやり方
普段のお手入れ
色うつり、匂いうつりが気になるとき



目次

1. 陶器と磁器の違い
1-1. 陶器・磁器の見分け方

2. お手入れは必要?
2-1. 経年変化を楽しむのもあり
2-2. 買ったときの状態を維持したいなら

3. 陶器のお手入れ方法
3-1. 目止めのやり方[使い始め]
3-2. 普段のお手入れ方法
3-3. 匂い・色うつりが気になるときは..




1. 陶器と磁器の違い


陶磁器は、陶器、半磁器、磁器の3種類があります。種類によってお手入れが必要か不要か、またお手入れ方法などが変わります。まずは、それぞれの違いをご紹介します。

陶器磁器半磁器
原料土と石
耐久性比較的脆い高い高い
重さ一般的に重い軽い軽い
温度適応性低い高い高い
ツヤ通常はなしあり通常はなし
色合い様々白が一般的茶色や灰色が一般的
* 商品によって個体差があります。

陶器

陶器は、粘土から作られている「土もの」です。焼成温度が低いため耐久性に欠けます。欠けたり割れやすく扱いに注意がいる器ですが、土の種類などによって、個体ごとの変化が出やすく、味わい深い印象になるのが魅力です。


磁器

磁器は、石を原料とした「石もの」です。粒子が細かく、高温で焼き上げるため耐久性に優れています。軽くて丈夫で、温度変化にも強いため日常で使いやすい器といえます。白っぽく、ツルッとした雰囲気が一般的です。


半磁器

半磁器は、土と石の両方を混ぜ合わせた原料から作られています。陶器の個体差の出る味わい深い雰囲気と、磁器の強度を合わせた器です。生活でも使用しやすいように設計された商品が多いのが特徴です。




陶器か磁器かによってお手入れの方法が変わります。まずは、お手元の器がどちらかを見分ける方法をご紹介します。

1-1. 陶器・磁器の見分け方

陶器・磁器はいくつかの方法である程度判断することができます。

陶器磁器半磁器
表面のつやなしありあり
表面の質感凸凹、ごつごつツルツルツルツル
色味様々白っぽい茶色、灰色
底面(高台)ざらざら滑らか滑らか
叩いたときの音低い高い高い
* 商品によって個体差があります。

1. 表面の質感で見分ける

表面の質感に違いがあります。粒子の粗い陶器は、表面が凸凹だったり、ごつごつ、ざらざらしている物が多いです。一方、粒子の細かい磁器は、ツルッとしていたり、あえて質感を出しているものでもサラサラとした滑らかな質感のものが多いです。


色味に関しても、陶器は様々な色がありますが、磁器は白や透明度の高い色味の器がほとんどです。

2. 底面(高台)で見分ける



お皿やお碗の裏側、底面(高台)を確認してみてください。陶器は、ざらざら、磁器はツルッとしています。

3. 音で見分ける

* 割れないように優しく叩いてください。

陶器を叩いたときの音


磁器を叩いたときの音



かたすぎず柔らかすぎない物で優しく器を叩いてみましょう。手指の第二関節あたりがちょうど良いです。陶器は、低く響く音、磁器は高く綺麗な音がなります。




陶器・磁器は、上記の方法である程度見分けることができますが、確実な方法はメーカーや製造元の記載を確認することです。あくまで、陶器・磁器の特徴から判断する方法ですので、製造元の案内がある場合はそちらでご確認いただくと良いでしょう。


*SIROMONO取り扱いの器は、全商品ページに、陶器・磁器/熱源対応/お手入れ等の記載があります。ぜひご確認ください。

2. お手入れは必要?

陶器磁器半磁器
目止め必要不要なものが多い不要なもの が多い
匂い・色移りあるほとんどないほとんどない
電子レンジ×
食洗機×××
オーブン×××
* 商品によって個体差があります。

熱源対応は表を参考にしましょう。器の中には、耐熱陶器など熱源対応をしているものもあります。商品差がありますので、お使いのものがある時は、メーカー提供の情報をご確認ください。


磁器・半磁器に関しては、目止めを必要としないものが多いです。目止めをしなくても色移りや匂い移りがしにくい器が多いので安心してお使いいただけます。




それでは陶器に関しては、どこまでお手入れするのが良いでしょうか?ご説明します。

2-1. 経年変化を楽しむのもあり

結論から言うと、お手入れをするしないは「好み」になります。たとえば、作家や窯元の方、普段使いで器をたくさん使っているような方だと、特別なお手入れをせずに、経年変化を楽しみながら使う方も多くいらっしゃいます。




お手入れをしないと、器にシミのようなものができたり、特に白い器だと、食材の色がうつることがあります。例えば色映りなどは気にしないけれど、匂い移りが気になるという方は、後述するお手入れの一部だけをしていただくことも可能です。

2-2. 買ったときの状態を維持したいなら

お気に入りの器など、なるべく買ったときの状態を維持して使いたい。という場合は適切なお手入れをすることで、長持ちさせることができます。使い始めの「目止め」から普段のお手入れ、トラブルシューティングをまとめました。

ご紹介した中から、取捨選択して必要なお手入れのみしていただくこともできます。生活に無理のない範囲で行いましょう。




3. 陶器のお手入れ方法

陶器のお手入れ方法として代表的なのが「目止め」です。

目止めとは

陶器には、小さな穴が無数にあり器自体が呼吸をしています。穴だけでなく、貫入などのヒビは吸水性があるため食材の匂いや水分などが染み込みやすく、目止め処理を行わないと、匂い、色移りの原因となります。


目止めとは、米のとぎ汁や小麦粉、片栗粉などをあえて染み込ませることで、食材などの水分、油分が染み込まないようにする処置のことを言います。

3-1. 目止めのやり方[使い始め]

目止めには、米のとぎ汁を使う方法と、片栗粉、小麦粉などの粉を使用する方法があります。どちらで目止めをしても大きな差異はありませんので、アレルギーの有無などを考慮の上、用意しやすいものでやってみてください。



[米とぎ汁を使用する]目止めの方法

用意するもの
器が浸かる量の水が入るもの
米のとぎ汁鍋の底が見えない程度の白濁しているもの
ご飯米のとぎ汁1Lに対して大さじ2杯

1.米のとぎ汁を鍋に入れる

お米を洗うときに使用した残り汁を残しておいてください。器が浸かる量のとぎ汁を鍋に用意します。このとぎ汁は、鍋の底が見えない程度に白く濁った濃い物を使用します。もし、濃さが足りない場合は2.の炊いたご飯の量を増やします。


2.炊いたご飯を1.に加える

1.で用意した米のとぎ汁1Lに対し、炊いたご飯を大さじ2杯、1.に加えて下さい。とぎ汁の濃さが足りない場合は、ここで入れるご飯の量を多くしてください。

3.ぶつからないように器を浸ける

煮る際に、器同士がぶつかって壊れないようにとぎ汁の中に並べていきます。必要なら、緩衝で使わない布などを間に入れると安心です。器全体がとぎ汁に浸かるようにしましょう。必ず点火する前に器を入れましょう。常温の水から緩やかに上げていかないと、器の破損につながります。

4.中火で器を煮る

中火で火をつけて、沸騰する手前まで温度を緩やかに上げていきます。沸騰前になったら弱火に落として20分程度煮沸します。

5.火を切ったまま、冷めるまで待つ

火を切り、鍋内のとぎ汁が完全に冷めるまで浸け置きます。ここで急冷すると温度差によって器の破損につながります。必ず自然に冷めるまで待つようにしてください。

6.器をしっかり洗い、自然乾燥させる

冷めたら、器のぬめりを洗い落とします。その後、乾いた布で拭き取って、風通しの良い場所でしっかりと自然乾燥してください。




[小麦粉、片栗粉を使用する]目止めの方法

用意するもの
器が浸かる量の水が入るもの
器が浸かる量
小麦粉/片栗粉水1Lに対して大さじ1杯

1.水を用意して、小麦粉・片栗粉を入れる

器が浸かる量の水を鍋に用意します。水1Lに対して大さじ1杯の小麦粉、または片栗粉を溶かします。粉気がなくなるまでしっかりと混ぜてください。鍋の底が見えない程度に白く濁った液を作ります。

2.ぶつからないように器を浸ける

煮る際に、器同士がぶつかって壊れないようにとぎ汁の中に並べていきます。必要なら、緩衝で使わない布などを間に入れると安心です。器全体がとぎ汁に浸かるようにしましょう。必ず点火する前に器を入れましょう。常温の水から緩やかに上げていかないと、器の破損につながります。

3.中火で器を煮る

中火で火をつけて、沸騰する手前まで温度を緩やかに上げていきます。沸騰前になったら弱火に落として20分程度煮沸します。

4.火を切ったまま、冷めるまで待つ

火を切り、鍋内のとぎ汁が完全に冷めるまで浸け置きます。ここで急冷すると温度差によって器の破損につながります。必ず自然に冷めるまで待つようにしてください。

5.器をしっかり洗い、自然乾燥させる

冷めたら、器のぬめりを洗い落とします。その後、乾いた布で拭き取って、風通しの良い場所でしっかりと自然乾燥してください。




3-2. 普段のお手入れ方法

目止めの効果を長期間維持するために、日常のお手入れ方法をご紹介します。

1. 使う前に真水に通す

お料理を盛り付ける前に、使う器を水に通しておきます。鍋やボウルに水を張って、器を10分程度浸けておきます。使う前に水を拭き取って使用します。10分程漬けると、しっかりと水が浸透して料理の水分や油分が染み込みにくくなりますが、時間がない場合は水道水にさっと通すだけでも効果はあります。

2. 使用後の器はすぐに洗って乾かす

お料理に使用した後は、長時間入れたままにはせず、早めに洗います。台所用洗剤の中には、「弱酸性」「弱アルカリ性」のものがあります。器を洗うのに適した洗剤は、野菜や果物も洗える中性洗剤です。上述の通り、陶器の器は水分が染み込むので安心して使える食器用中性洗剤や一般の中性洗剤を薄めて使うと良いでしょう。
お料理が残っている場合もそのままにせず、タッパーなどに移し器は早めに洗うようにしましょう。

3-3. 匂い・色うつりが気になるときは..

気を付けていても匂いや色がうつってしまうことはあります。気になるときには、以下の方法で軽減することができます。

○重曹水で煮沸する

重曹水を作ります。鍋に器が浸かる量の水を張って、食用の重曹を水1Lに対して、大さじ1から2杯程入れます。しっかりと混ぜて重曹の水溶液ができたら器を漬け込ませて、中火でゆっくりと温度を上げながら煮沸します。(行程は[小麦粉、片栗粉を使用する]目止めと同じです。)

○重曹をつけたスポンジで洗う

器の匂いや色移りが気になる箇所に、重曹を少量つけます。その後、水を含ませたスポンジで擦るように洗います。まだ気になる場合は繰り返します。



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